連絡 4回目

N「装置交換する候補の機種ですが、なかなか出てこないんです」

出てこないってどういうこと？
新しいパソコンなんて文字通り、売るほどあるじゃん、メーカなんだから。
ああそうか、「できるだけ近い機種」ね。今ある在庫の中で、市場に出してももう売れそうにない、
一番古い、不良在庫になっちゃって廃棄待ちしてるようなマシンがどこかに眠ってないかと探して
いるわけね。
まあいいよ、それは急がないから、Lavie子のデータが取り出せるようにもう一度直しておいてよ。
それもいざとなったらHDDだけ外して、新しい子につないで移植させちゃえばいいんだもんね。
もうボディは用済みになるんだから。
それでも、代替機が決まらないと方針も決められないのだろう。昼過ぎにはもう一度電話が
かかってきた。

N「見つかりました。全体的にはスペックアップしておりますが、いくつかご了解願いたいことが・・・」

なんなの、今さら条件を付けられたって、困るんだけど。

N「まず Pentium M から Core 2 Duo になります。メモリが 256MB から 1GB 、画面は
　　15インチから15インチワイドに」

思わず鼻血が出そうな数字だ。

N「FDDはないのですが・・・使われますか。では外付けドライブを無料でお付けして
　　おきます」

金持ちって　ス　テ　キ　。
札束で頬をぶって黙らせるとはこのことね。

N「で、あのう、OSなんですが、Vistaになるんです」
R「えっ、XPがいいんですけど、XP入れてもらえないですか？」
N「それがちょっと、出来かねまして・・・。それで、データもそのまま載せ換えてお返しすると申し上げて
　　たんですが、OSが違うのでそれもそっくりできるかというと難しい部分がありまして」
R「じゃあ、データは助からないんですか」
N「いえ、データ自体はDVDなどに移行することはできます。別々にお返しする
　　ことになりますが、フォルダの場所をご指定いただければ、ご指示通りのファイルは
　　取り出せます」

なにいいぃぃぃっ
それは困るっ　メールやおバカなタイトルのファイルやあんなものやこんなものまで入ってるんだっ
一括で載せ換えするならまだしも、見られては恥ずかしいあれやこれやが・・・　ってもう、修理の段階で
デスクトップに放置してあるファイルは見られちゃってるよね。
あああ、ちゃんと隠しとかない私も悪いけどさ、だって家の外に出すとか誰かに見せるとか考えて
なかったし、隠そうにも起動しないし、しょうがないじゃん。
でも、プライバシーは保護されるんでしょうね。でも、でもっ！

R「返してください。うちのLavie子を返してください」
N「新しい装置をお渡ししたら、古い装置は回収させて頂くことになっているんです。
　　データ移行のために古い方を貸し出すという形をとることはできます。データ移行が済んだら
　　返却して頂くということで」

何が返却だ！　Lavie子はもともと私の物じゃないか。Lavie子は私のお金で買ったんだ！

N「では引き続き点検はさせて頂いて、また1週間程度になると思います。装置交換の同意書だけ
　　FAXでご返送ください」

がくうっ・・・。
つ、疲れた。良かったのか悪かったのか、いや十分な補償はしてくれているのだが、なんかもう・・・。

そして、この夜、示し合わせたようにドスパラからデスクトップが届いた。